夏でも快適に過ごせる家づくりのコツ
ジメジメとした梅雨が明けたら、いよいよ本格的な夏がやってきますね。年々厳しさを増す日本の夏を、家の中でいかに快適に過ごすか、家づくりを検討されている方にとっては大きなテーマではないでしょうか。
「夏はエアコンがあれば大丈夫!」とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、実は家づくりにおいていくつかの工夫を凝らすことで、エアコンに頼りすぎず、自然の力を活用しながら快適に過ごせるだけでなく、電気代の節約にもつながります。
今回は、夏でも快適に過ごせる家づくりのコツを、具体的にご紹介していきましょう。
☆目次
〇まとめ
1. 軒や庇(ひさし)を活かす
夏の日差しは、家の中の温度を上昇させる大きな要因です。特に南向きの窓から差し込む直射日光は、室内の温度を大きく上げてしまいます。そこでおすすめしたいのが、軒(のき)や庇(ひさし)を効果的に活用することです。
軒や庇は、窓からの直射日光を遮る役割を果たします。夏の高い位置から差し込む太陽光はしっかりと遮り、冬の低い位置から差し込む太陽光は室内に取り込む、優れものです。これによって、夏は室内への熱の侵入を抑え、冬は日差しを取り込むことで暖かさを確保することができます。
また、軒や庇は、雨の吹き込みを防ぐ効果もあります。窓を開けて風を通したいけれど、急な雨で濡れてしまうのが心配という場合でも、軒や庇があれば安心です。特に、夏の夕立など、短時間で強い雨が降る際にはその効果を実感できるでしょう。
2. 用途に合わせて選べるLow-E複層ガラス
リクシルのLow-E複層ガラスは、どちらも夏の暑さ対策に効果的。用途やお部屋の条件に合わせて選ぶのがおすすめです。
■ クリアタイプ
透明度が高く採光性に優れながら、断熱+日射熱もカット。冬の寒さが厳しい地域や、明るさを確保したいお部屋に最適です。
■ グリーンタイプ(高遮熱仕様)
ほんのりグリーンの膜が、夏の強い日差しをしっかりカット。冷房効率を高めたい部屋や、直射日光が入りやすい空間におすすめです。
以前の記事『梅雨でも快適!湿気に強い家づくり』でもご紹介した通り、「第一種換気システム」も非常に効果的な方法のひとつです。このシステムでは、給気と排気の両方を機械でコントロールするため、計画的かつ効率的に家全体の空気を入れ替えることができます。
3. 吹き抜け空間にシーリングファンの活用
天井付近にたまった暖かい空気を循環させ、部屋全体の空気を効率よく動かすことで、冷房の効率がアップ。設定温度を抑えても涼しさを感じやすくなり、省エネ効果も期待できます。
デザイン性の高いファンを選べば、インテリアのアクセントにも。吹き抜けのある家こそ、シーリングファンを上手に取り入れて、見た目も快適さもグレードアップしましょう。
4. 窓まわりの遮熱対策
窓は光を取り込み、外部とのつながりを感じさせてくれる重要な要素ですが、同時に夏場の熱の侵入経路としても非常に大きいです。窓から差し込む日差しや熱の侵入をいかに防ぐかが、夏の快適性を左右すると言っても過言ではありません。
外付けの遮熱アイテムを活用する
窓ガラス自体が高性能であっても、直射日光が当たる限り、室温は上昇しやすくなります。そこで効果的なのが、外付けの遮熱アイテムです。
アウターシェード・よしず・すだれで窓の外側で日差しを遮ることで、窓ガラスに熱が伝わるのを防ぎます。特にアウターシェードは、スタイリッシュなデザインのものも多く、使わないときは巻き上げて収納できるため、非常に便利です。昔ながらのよしずやすだれも、風情があり、効果は抜群です。
外付けのルーバーや可動式ブラインドも、日差しの角度に合わせて調整できるため、効果的に日差しを遮ることができます。
窓の前に落葉樹を植えるのも、自然の力を借りた優れた遮熱対策です。夏は葉が茂って日差しを遮り、冬は葉が落ちて日差しを取り入れることができます。
5. 太陽光+蓄電池で省エネ冷房
夏の快適な暮らしと切っても切り離せないのが、電気代の心配ではないでしょうか。特にエアコンを長時間使用する夏は、電気代が高くなりがちです。そこで検討したいのが、太陽光発電システムと蓄電池の導入です。
太陽光発電は太陽の光エネルギーを電気に変換するシステムです。日中に発電した電気は、自宅で消費したり、余剰分は電力会社に売電したりすることができます。夏の日中、エアコンを稼働させる時間帯は、太陽光発電の発電量も最大になるため、自家発電した電気でエアコンを賄うことが可能になります。
さらに、蓄電池を併用することで、そのメリットは飛躍的に高まります。日中に発電した電気のうち、使いきれずに余った電気を蓄電池に蓄えておくことができます。そして、太陽光発電が稼働しない夜間や、発電量が少ない曇りの日などに、その蓄えた電気を使用できるのです。
これにより、日中の電気を自家消費することで、電力会社からの購入電力量を大幅に削減できます。夜間も蓄電池からの電力を使うことで、さらに電気代を抑えられます。
災害などで停電が発生した場合でも、蓄電池に蓄えておいた電気があれば、照明や冷蔵庫、そしてエアコン(特定回路のみの場合もありますが)など、最低限の電力を確保することができます。夏の暑い時期に停電になっても、エアコンが使えるという安心感は大きいでしょう。
6. GX志向型住宅
2020年頃から注目されはじめた「GX(グリーントランスフォーメーション)」という言葉をご存知でしょうか。GXとは、温室効果ガス排出量の削減と経済成長を両立させるための変革を指します。そして、家づくりにおいても、このGXの考え方を取り入れた「GX志向型住宅」が注目されています。
GX志向型住宅は、単に省エネ性能を高めるだけでなく、より積極的に脱炭素社会の実現に貢献する住宅を目指します。
従来の省エネ住宅よりもさらに高いレベルの断熱性能と気密性能を追求し、冷暖房に使うエネルギーを徹底的に削減します。これによって、夏は外からの熱の侵入を防ぎ、冬は室内の熱を逃がさない、魔法瓶のような住空間を実現します。
まとめ
これらのポイントを家づくりに取り入れることで、夏の暑さに悩まされることなく、快適で、そして地球にもお財布にも優しい暮らしを実現することができます。
さらに2025年のGX志向型補助金制度では、最大160万円の補助が受けられるチャンスがあります(※補助金の枠がなくなり次第終了)。国の最新基準を満たした、高気密・高断熱・高耐久のGX志向型ZEH住宅を検討されている方は、こうした補助金制度の活用も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
家づくりは、一生に一度の大きな買い物です。ご家族のライフスタイルや、将来を見据えた上で、最適な選択をしてください。
自身の理想の暮らしを実現するために、今回ご紹介した内容を参考に、ぜひ専門家とじっくり相談してみてくださいね。